猫児山

猫児山は桂林市内から122kmの場所に位置し、興安、資源、龍勝の三県を跨ぎ、標高2142mは広西チワン族自治区最高峰、華南地方最高峰としても知られています。山頂がまるでうずくまる猫のように見えることから猫児山と呼ばれ、「泰山の雄、華山の険、蘆山の幽、峨嵋山の秀」と称され中国各地の名山の特質を併せ持つと言われています。猫児山では高度が上がるにつれ気温が下がるため、高度によって植物が異なる生態を示しています。標高別に400~1200m間には常緑広葉林と常緑針葉林が広範囲に広がり、1200~1800m間には落葉林と常緑広葉林の混成林が生い茂っています。1800~2000m間には常緑広葉林に加え、常緑広葉林と針葉林の混成林が広い範囲に分布しています。2000m以上になると低い灌木の生える高山地帯になります。地元政府は1993年より猫児山の観光開発に力を入れ、ツツジ園、ツガ公園、老山界、高山公園、十里峡谷など6つの観光区域と26の観光スポットを備え、4200㎡の広大なリゾート施設と160kwの水力発電所を建設しました。1999年には中国生物保護圏のネットワークに登録され、主な保護対象として原生林の亜熱帯常緑広葉樹を構成する森林生態系、国に保護されている動物や植物の種子及び離江の水源涵養林です。
猫児山が汚染や破壊が少ない天然植物と種子の宝庫とされているのは、生態保護地区の中心部が高く周囲が低いといった瓢箪のような形状をしており、動植物の生息に適した環境を創り出しているからだと言われています。現在まで猫児山で見つかった野生植物は1436種、動物が112種であることが実態調査で確認されています。その中でツツジの花は36種に及び、氷河時代を生き残った貴重な「ツガ」が注目され、メタセコイヤやイチョウと並んで植物王国の「化石」と呼ばれています。このほかにもランの太古の形態として知られているユリノキなど第三氷河期の名残りをとどめる植物が生息しています。
猫児山には経済的価値の高い植物も多く、羅漢果、ハーブ、孟宗竹、銀杏、六峒茶、中華キウイ等に加え、天麻、田七、黄蓮などの貴重な漢方薬も採取できます。動物においては国家一級保護動物としてジュケイ、雉(腹の色が黄色)、金銭豹、雲豹、森ジャコウジカの5種、二級保護動物として雉(腹の色が赤)、ハクビシン、山椒魚、猿(尻尾が短い)、月の輪熊など32種が数えられます。
猫児山は漓江や資江などの水源であり、その豊かな自然環境で一年中観光に適しており、四季折々の表情を持っています。春は美しい草花の観賞し、夏になるとリゾート地に変わり、秋には登山、冬は雪景色というように、どの季節の景観も人々を決して飽きさせることがありません。