龍勝紅ヤオ族の服飾




 


   龍勝県は桂林から70キロ離れた少数民族自治県で、その主な少数民族としてヤオ族の2万6千人が泗水郷、和平郷に住んでいます。同じヤオ族でも、紅ヤオ族、盤ヤオ族、花ヤオ族があり、それぞれの民族服飾と生活習慣が違い、その中で、最も話題となっているのが赤ヤオ族の服飾です。

   紅ヤオ族の服飾は一着仕上げるのに、かなり時間がかかり、1、2年かかることもあります。一般的に女の子が十二三歳の頃から刺繍の針仕事を始め、二三着の服飾を完全に仕上げることができて、初めてお嫁に行くことができます。一枚の服を仕立てるには刺繍に使う色鮮やかな糸が必要で、服飾に施される刺繍の図案は「工」と「弓」字型のものが多く、他にも花、鳥、魚、蝶蝶などがあります。色彩は赤が多く、白、青、緑、黄色、黒がその中に混ざります。刺繍の図案は主に服の背中、胸、スカートの下端に施されます。スカーフは一尺ほどの青色の布で、四つの角に親指ほどの正方形の印が刺繍され、ここでも「工」と「弓」字型の図案が施されています。複雑で精巧なこれらの図案は「ヤオ族の王の印」と呼ばれ、頭に付ける際に、このヤオ族の王の印が額の中央に出、ヤオ族の王に対する尊敬の気持ちを表現しているとともに、紅ヤオ族女性の穏やかで落ち着いた性格を窺うことができます。

   紅ヤオ族の女性達は自分の服飾を綺麗に刺繍できるだけではなく、ろうけつ染の技術も修得しており、ヤオ族の女性の特技とされています。このろうけつ染は文字などの記載やデザインがなく、下絵を描くことなく、手で布を掴みながら、蝋と布の流れが作り出す特殊な技法を駆使します。それから、藍色の染料の中に漬け、乾燥させた後、見事な幾何学模様や花の図案などの美しい芸術品が誕生するのです。