ハミ白石頭風景区

ハミ白石頭風景区はハミ市から北に70km離れており、青々とした草原と松林の間には白い巨石があります。その様子が白い牛が草原に座っているように見えることから「白石頭」と名付けられました。総面積200?を誇るこの風景区は東にイングル草原、西にバリカン草原とつながり、南には万年雪に覆われたカルリク雪山、北にはバリカン北山の峰々が聳えています。また、昔から新疆の避暑地として有名で、現在は国家3A級風景区に指定されており、白石頭、天山廟、鳴砂山、松樹塘、寒気沟の5つのエリアに区分されています。
 風景区ではゴビ砂漠、草原、松林、雪山といった景観が次々と入れ替わるように続き、草原にはカザフ族のテントが点在し、羊の群れがのんびり草を食べる牧歌的な風景は日常を忘れさせます。その一方で唐廟漢碑と烽火台の遺跡はこの地が築きあげてきた歴史の重さを感じさせます。

白石頭
白石頭は風景区の中心の緑の絨毯を敷き詰めたような草原にある長さ2m、幅90cm、高さ70cmの白い巨石を指し、天外から飛来したものともいわれています。そばにはカザフ族の男女の彫刻が立ち、2人が命をかけて白石頭の美しい松林を守護したという伝説が伝わっています。周囲ははるか昔からカザフ族の豊かな放牧地が広がり、夏には草原に花が咲き乱れ、のどかに草を食べる羊の群れを追うカザフ族の姿が自然の緑に映えます。冬になると見渡す限り一面が雪で白く染まり、松林の雪化粧が幻想的な世界を演出しています。

鳴砂山
鳴砂山はバリコン盆地の東端にあり、北西の砂漠から風で運ばれてきた砂が降り積もって東西3㎞、南北5㎞、総面積約25?の砂山を形成し、その高さは35mから115mにまで達します。また草原が広がる土地に砂山が忽然と現れることから「草原ピラミッド」と言われています。鳴砂山は周囲をマカンウラ山、カルリク山、バリコン山に囲まれ、その麓には塔水河と柳条河が流れていて、真夏になると大量の水蒸気が湧き上がり山々と共に大きな共鳴空間を作り出し、砂が流れ落ちる時に「キュッ、キュッ」と音が鳴り、中国の四大鳴砂山の一つに数えられています。また、砂山には200段の木造階段が作られており、砂山の頂上まで登ると、緑の草原を見下ろしながら真っ白な天山山脈を眺めることができ、そりを使って砂滑りを楽しむ事もできます。
 
天山廟
天山廟はハミ市から北へ約60㎞離れた東天山の山頂にあり、かつてハミからバリコン、クルム(伊吾)へ向かうために必ず通る要衝で、唐の時代に廟が築かれました。天山を越える旅人が道中の安全を祈り香をたく場所として、清の時代乾隆51年(1786年)に関羽廟が築かれ、「天山関帝廟」とも称されています。2008年にはさらに増築され、大殿、配殿、鐘楼、牌坊などが設けられ、大殿には三国時代の名将である関羽、関平、周倉の塑像が祭られています。
天山廟は海抜2700mの高度に位置し、峠に建造された展望台に立つと眼前に広大な草原が広がり、万年雪を頂く天山山脈の山並みが彼方に見ることができます。

寒気溝
寒気溝は白石頭から東に20㎞の所にあり、西から東へカルリク雪山の麓までうっそうとした森林地帯が10数㎞も続いています。ここには天山山脈の雪解け水が集まってできた川が山谷を流れ、モンゴルからの強い北風が絶え間なく吹き、真夏でも非常に冷え込むことから「寒気溝」の名前が付けられました。寒気溝は高山草原、針葉樹森林、氷河が共存する独特の景観を創り出しています。

松樹塘
松樹塘の南端はハミ市から73㎞離れ、ハミ、バリコン、クルムの境界を跨いで、南にバリコン山が聳え立ち北にはバリコン草原が広がっています。海抜は1800~3000m、平均気温は-0.4℃と春や秋でも雪が降り、山谷から山の中腹までは白樺、松、雲杉に覆われ、原始森林の面積はバリコン県内だけで5.6万ヘクタールに及びます。
松樹塘ははるか昔から軍事的な要塞として活用され、周りには漢の時代の石碑や焼陶遺跡、大型精錬遺跡などが発見され、軍馬「伊吾馬」の産地としても知られ、現在でも伊吾馬を育てる軍馬場が存在します。松樹塘では松林、草原、雪山といった冬の美しい景観を楽しむことができ、2001年には松樹塘スキー場がオープンしてより一層の賑わいを見せています。