五堡古墓群

五堡古墓群はハミ市南西75kmの五堡村にあり、約3200~3600年前の青銅器時代の古墓群で総面積は5000㎡です。1990年に新疆ウィグル族自治区重要文化財に指定されました。

1978年、1986年、1991年に新疆考古研究会とハミ地区文管所の考古学者によって発掘が行われ、全部で113基の墓室が調査されました。墓室からは多くのミイラと大量の副葬品が発見され、墓室の近くにも陳列室がありますが多くは文物は新疆ウィグル自治区とハミ博物館の五堡古墓展示庁に展示されています。

五堡古墓群の副葬品
出土した副葬品は主に日用品と工具で、日用品は陶器、木製人形、木櫛、、青銅製ナイフなどがあり、墓室から石臼、織り機の紡輪、骨針、乗馬鞭など数多くの金製、木製、石製の工具も出土しました。個人の富や財産を示す副葬品がないことから当時はまだ貧富の差や階級関係が存在しなかったと考えられています。
ミイラが纏っていた皮革や毛織物も保存状態がよく、皮革としては革帽子、革靴、革鞄などがあり、現代になっても柔らかく、3000年前の皮革鞣製技術と脱油技術の高さを窺わせます。また毛織物としては帽子、上着、スカート、ズボンなどがあり、製法も緻密で平織りや綾織り、色糸使いも用いられています。その中でもきれいな赤色が残し、三角形の格子模様が織り込まれているものは出土品の中でも絶品と称されています。さらに、五堡古墓群から出土した毛織物は、現在中国最古の色彩毛織物とされています。

五堡古墓群のミイラと3200年前の眠れる美女
過去3度の発掘により五堡古墓群からは50を超えるミイラが出土し、炭素C14法と呼ばれる年代測定法によって約3200~3600年前のもの測定されています。墓室は全長2m、幅1.2~1.5m、深さ2mの竪穴式土坑墓で、五堡の乾燥した気候と土中に含まれる塩分濃度が高かったため、墓室の遺体の大部分が保存状態の良いままミイラ化し、発掘されたミイラは足が右寄りで膝を立てた屈葬になっています。
1978年には五堡古墓群から女性1人と男性2人のミイラが発掘され、3200年前のものと推定されており、その保存状態の良さから新疆の多くの考古学者が驚愕し、ハミの地名にちなみ「哈密ミイラ」と名付けられました。また24号墓から出土した女性のミイラは発掘された時に赤色の毛織物の長鞄を身につけ、その上から革鞄を纏い、髪は何本も三つ編みに編まれ、肌の毛穴まではっきり識別することができます。推定死亡年齢は35歳で、黄褐色の髪にほりの深い顔、薄い唇を持ち、コーカソイド白色人種の特徴を持ち、その保存状態の良さから「金髪女」「眠れる美女」と称されています。