水墨画の世界―漓江

2009年04月12日ニュース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 桂林で生まれ育った私、そして時にはガイドとしてご案内する立場の私、いろんな漓江の姿を見てきました。私に限らず桂林市民は漓江に特別な感情を抱いていると思います。晴れた休日に漓江沿いを散歩すると、お年寄りの夫婦や恋人たちなどの二人ずれによく出会います。ゆっくりと歩きながら、お年寄りは昔話、若い人は将来への夢などを語っています。雨の日に悩み事があったら、いつも漓江沿いへ出かけます。漓江の流れを見ていると、嫌なことや悩みを連れ去って行ってくれるように感じます。漓江は仲の良い友達のように、いつも一緒にいてくれます。
 ところで「漓江は何時ごろが一番きれいですか?」と問われると、どう答えたらいいか分かりません。私には漓江はいつでもきれいに見えてしまいます。天気のよい日に漓江下りをすると、水面に映った奇峰は大地に聳え立つ山よりも形がはっきりしてきれいです。また漓江の流れに乗ると、山も一緒に動き出しそうです。船で下っていくと、同じ山でも角度によって姿がまったく違ってきます。また、同じ日でも漓江の景色は朝、昼、夕と姿を変えます。特に、この春雨が降る時期は峰に霧がかかって、幽玄な世界にいるような感じを与えてくれます。
 漓江下りの途中にはいくつかのハイライトがありますが、是非見ていただきたいところが二つあります。一つは、九馬画山で、切り立った崖に九頭の馬が描かれているように見えます。崖が河辺に向かっているため、いつも風雨の浸食を受け、長い年月のうちに岩石のアウトラインがはっきりしてきて、今のような景観になったものです。もう一つは、漓江が大きく蛇行した地点にある、興坪という古い街からの景観です。そこからの眺めは、1999年版の人民元20元札のデザインに使われているほどです。昔ながらの孟宗竹を束ねた小舟で漁をする人たち、河辺で洗濯をする人たち、その脇でのんびりと水遊びをする水牛、そんなのどかな農村風景にも出会えます。早朝には運がよければ、鵜飼漁をしている人に出会えるかもしれません。
両岸に林立する奇峰・奇山の間を縫うように船は漓江を下り、まさに悠久の水墨画の世界を行くが如きです。大好きな漓江をこれからも皆様にご案内し続けてゆきたいと思います。

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作者:( 「ふれあい中国」)

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