桂林の観光歴史を刷新した桃花江下りの悲願が叶えられた

2012年12月30日中国文化

  2012年12月28日は、桂林の観光歴史を刷新する記念すべき日となりました。この日は、ようやく船で漓江の畔にある有名な象鼻山から桃花江を上り、もう一つの観光ハイライトである蘆笛岩に行けるようになりました。                漓江は中國でも世界でも名高い川であり、両岸の雄大な奇岩奇峰が果てしなく連なり、綺麗な漓江の水にも映り、山紫水明の景色を織りなしています。83キロにわたる山水画のような世界が多くの観光客の心を捉えて離しません。この観光客の魂を震撼させるほどのギャラリーに数多くの観光スポットが並んでいます。そして漓江と桃花江の合流点にある象鼻山はその代表の一つだと言われています。
 象鼻山は昔から古い“桂林の八景”のひとつである「象山水月」が有名であり、現在、桂林市のシンボル、桂林山水の代表とされています。
 蘆笛岩は桂林市の北西部にあり、1962年に正式に一般公開された鍾乳洞です。中は自然そのままの鍾乳石がいろいろな形をして想像の尽きない世界を展開しています。そのため大自然の芸術宮殿と言われています。開放されて以来、約300人の国内外の政府要人が訪れたことがあったので、「国賓洞」とも呼ばれています。蘆笛岩はまさに漓江下りと並ぶ観光のハイライトなのです。
 桃花江は漓江川の支流であり、昔、その周辺に桃の花がよく咲き誇り、風情として評判されたので、名づけられたそうです。唐、宋代から「陽江秋月(桃花江が秋の月夜に煙る)」、「西峰西照(西山が夕焼けに染まる)」という二つの景色が桂林の古い八景に含まれていました。川の両側にきれいな山々が並び、その長閑な田園風景がまたそれらの山々と折よく呼応しています。そして川のまわりに自生したり植林したりした樹木が一層、山並みの美しさを際立たせています。このような環境に恵まれ育てられた原因だったでしょうか。1200年前の唐代(西暦895年)に桃花江の畔の村に桂林有史以来の状元、趙観文(昔中国の科挙制度が実施され、最高級とされた皇帝による「宮殿試験」(殿試)で成績が一番良い生徒のこと)が生まれたのでした。明、清時代に、徐霞客を始めとした有名人は桃花江を遊覧した記載が多かったのです。ましてこのような桃花江が蘆笛岩にも隣接するというメリットもあり、何とかして漓江川(象鼻山)から船に乗り、桃花江を遡り蘆笛岩まで行けるようにしたいと考えてきた桂林観光部門の専門家が少なくはありませんでした。実はこの悲願がかねてから桂林市政府でも検討されたものでしたが、いろいろな原因で見送られたり、棚上げされたりしました。
 桂林市政府がようやく1999年に、まず市の環城水系の第一期工事として市内にある杉湖、榕湖、桂湖、木龍湖の四つの湖に対する大掛かりな工事に漕ぎ付けました。工事がスムーズに進み、2000年6月に、計画通り完成させました。「四湖工程」は人気の高い観光コースだけではなく環境に優しいプロジェクトとしても高く評価されています。
 2009年に入り、桂林市当局がようやく桃花江を浚渫し、観光コースに向けての工事に乗り出すことになりました。これを桂林市の「両江四湖工程」の第二期の工事に位置づけました。「両江」とは漓江と桃花江を指して言います。桃花江川をきれいに浚渫したと同時に、川の側におよそ8000本の各種の樹木を植えつけ、両側の山の上に合わせて11万個の照明用のライトを取り付けたということです。桃花江は、元来落差がある川なので、観光船がスムーズに行けるように二か所の水門を造ることにしました。更にカオスな魯家村を建て直し、環境の綺麗な新型生態村を登場させました。川の護岸といえば、自然そのままの形を保ち、できるだけ手を加えないようにしました。いわば桃花江観光コースは自然美と生態農業を大切にするうえ、桂林における初めての原始生態重視を兼ねる観光コースなのです。前述にある象鼻山と蘆笛岩を一本化させる桃花江下りコースは新しい内容を盛り込む観光コースに変身して必ずや人気が高まるでしょう。この点で言えば、長年の桂林人の悲願が叶えられたばかりではなく、桂林の観光歴史を画期的なものにしました。この新コースに合わせて桃花江遊覧当局が最新型の観光船を配備し、昼でも夜でもこの「一山(象鼻山)、一洞(蘆笛岩)、一江(桃花江)」のコースを気持ちよく楽しんでもらうようにしました。
 筆者が幸いなことに、このコースの開通日に当たり綺麗な観光船で11万個と言われたライトに照明された夜景を体験させていただくことができました。約一時間半かかる遊覧コースは、蘆笛岩の駐車場に近い芳蓮嶺の船乗り場から乗船し、桃花江をゆっくり下り、下流の象鼻山公園の水門に降ります。船が出発してまもなく夜空に彩られた両側の夜景に圧倒されてしまいます。近く幻想的に見える川の水と遠くにシルエットに変わった山並みが溶け合い、この世のものとは思えない美しさは印象深くて忘れられません。また川面で伝統的な鵜飼いショーも昔そのままの風情を醸し出していました。途中で綺麗な石船で桂林オペラ(桂劇)を演劇した場面もあり、面白かったのです。その日の夜が寒かったのですが、船内に暖房が付き、暖かくて気持ちがよかったでした。もちろん昼間の観光でもその趣きがあると思います。とにかく夜景に彩られた桃花江は素晴らしかったです。
 皆さんがもしチャンスがあれば是非ともこのコースを楽しんでいただきたいものです。心からお勧めします。
 以下は開通日に撮った夜景の写真であり、お楽しみにしてください。

写真は桃花江下りコースの開通式を正式に挙げた会場であり、桂林旅行部門の役員が多く顔を揃いました。

イラストで描かれた「一山(象鼻山)一洞(蘆笛岩)一江(桃花江)」の画面に曲がりくねったのは桃花江であり、別名の「九曲十八湾」とも呼ばれた所以がここにあります。

綺麗な夜景を背景にナイトクルーズへの出発に待機していた新しく配備した観光船。



桃花江下りコースの開通式で壇上のテープカットに臨む政府役員たち

観光船に乗ると真新しい船だと分かり、広くて40人の定員に限ります。暖房が付き、気持ちがよかったです。

観光船は屋根までがガラス張りであり、中に座っても外への立体的な見学ができて視界が最高でした。

さすがに購入したばかりの船だけあってトイレも綺麗でした。



桃花江下りの開通のお祝いに多くの花火も打ち上げました。



船が出港して間もなく川の両側に設置されたライトに照明された夜景に目を 惹かれてしまいました。



観光船の向こうに見えた山々が神秘的なムードに包まれ、シルエットのようでした。



桃花江の風情と言われた鵜飼いショーも冷たい水にもかかわらず、夜景のムードを加勢していました。

更に船の向こうに山並みが現れ、言葉で言いようがないほど、印象に強く残りました。

もともと落差のある桃花江では、二か所の水門が造られました。水門は一回で二艘ずつの通過を扱っており、やく6~8分間掛かります。落差が1.8Mあるということです。今水門に入った船です。

船が水門に入ると、水門の後部にある扉が水中から次第に上がりました。見ているうちに船が水位とともに下がっていきます。

今度は水門前部にある扉がだんだんと開きました。船が既に1.8Mの落差を下がることになりました。実際、この水門技術がいまだに世界どこでも通用しています。源として2200年前の秦の始皇帝時代に造った桂林の「霊渠」に由来したと考えられています。

肖家水門を通ると川に架けた風雨橋が見え、この橋が最近、立て直した魯家村に行く玄関口でもあります。

魯家村の近くに配置された石船があり、夜ライトアップされた中、桂劇(桂林オペラ)が披露され船内の観光客を楽しませてくれます。

続きますと、船の左側に不思議な形に見えた山が出ました。「甲山」と説明されていました。








目の前にもう一か所の水門がありました。ここに来ると川の水面が何となく広くなったようでした。

前回の水門と同じ取り組みで、通過を待っている観光船でした。



明代に桂林の「八景」の一つとされた「西峰夕照」の西山は夜景の木々にうっそうと包まれており、いったい「夜景」と「夕焼け」とは、どちらが綺麗でしょうか。

ここが桂林市内にある四湖コースに入る水門です。今は閉まっている状態です。桃花江はここから昔の桂林のお堀と重なり、順番に西門橋、南門橋、文昌橋を流れていきます。

西門橋を過ぎると左側にまた綺麗な石船が出ました。そこでも古風のショーが開かれていました。

南門橋を通ると町の中心部になりましたが、周囲の雰囲気が変わりました。

ここが象鼻山公園であり、向こうにうっすらと見えたのが有名な象鼻山です。桃花江下りの終点としても使われることになっています。

約一時間半かかる欲張りの桃花江下りは、思う存分堪能させていただきました。何といってもあの桂林山水ならではの夜景に感動しました。

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作者:( 「ふれあい中国」)

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