南渓山公園

南渓山は桂林駅から南に1キロほどの場所にあります。二枚の屏風のように、切り立った白い岸壁が支えあって対峙しています。標高291mの二つの峰は山水画の題材そのものです。名前の由来は、桂林市の南側を流れる南渓川に因んでいます。
南渓山の最初の開発者は、唐代の桂州(桂林)州長の李渤です。彼は都で濡れ衣を着せられ、洛陽から遠い桂林に左遷を強いられました。李渤は桂林で町の発展に力を尽くし、南渓山の開発にも心血を注ぎました。そして、二年に亘る左遷から解放され、洛陽に帰ることになりました。彼は南渓山を去りがたく、山洞に「留別南渓」という有名な詩を刻んでいます。南渓公園の見どころは、龍脊亭、白龍洞、白龍泉、白龍橋などがあります。また、雨後の南渓山も絶景です。

龍脊亭
南渓山の二つの峰に跨る龍脊亭へは、山の麓から階段が整備されています。桂林市街、離江、闘渓山、大頭山などがパノラマのように見えます。視界がよい時には、見渡す限り奇峰が無数に点在し、桂林独特の風景が望まれます。

白龍洞
南渓山の北西の麓にある大きな洞窟です。中に入ると透かし彫りの工芸品のように、空間が貫通しています。まるで迷宮に入り込んだような感じです。元々は6つの独立した洞窟でしたが、人工的に開削されたものです。遊覧コースは523mで、合わせて25か所の観光スポットが整備されています。洞内は右に曲がり左に曲がり、階段を上ったり下ったりと複雑なコースになっています。これらのルートは昔の地下河川の跡です。地下水の複雑な流れが長年にわたり河底を浸食し、現在の複雑な洞窟となりました。南渓山には多くの洞窟がありますが、一番有名なのが白龍洞で、他にも劉仙岩などの洞窟があります。

白龍泉
南渓山の北側から湧き出ている泉です。すでに唐の時代には、桂林周辺で一番水質がよい湧水と評価されていました。かつては皇帝への貢物として、はるばる長安まで運ばれたので「貢泉」と称されました。白龍泉の上には、貢泉を守るために白龍井亭が建てられています。

白龍橋
白龍橋は南渓山と南渓公園広場の間を繋いでいます。1965年に建てられ、隋代の趙家橋の風格を取り入れています。長さは30m、幅5.5mで橋の上には五つ亭が設けられています。

雨後の南渓山
雨が降った後の南渓山は、岩肌の白さが際立ちます。空洞が多いせいもあり、内外の温度差で山全体が靄に包まれます。霞む緑の樹木と相まって、そこに墨絵の世界が現れます。この現象を「南渓新霽」と言い、清代から桂林八景に挙げられています。「霧の重慶」と並び称される「雨の桂林」は中国情緒の代表でもあります。晴れても、降っても楽しめるのが南渓山公園です。