円通寺

 円通寺は岩が折り重なって見えることから螺峰山ともよばれる円通山の麓にあり、昆明の最古の仏教寺院として1200年の歴史を持っています。雲南省仏教教会と昆明市仏教教会は円通寺の敷地内にあります。

 唐の永泰元年(765年)ごろ、当時の南詔国で滇池の北部を中心に多くの仏教寺院が建てられました。円通寺はその中の一つで、もとは「補陀羅寺?(梵語Potalakaの音訳)と呼ばれ、観音を祭る寺院とされていました。そして、元の大徳五年(1301年)から20年かけて再建されたあと、「円通寺」と改称されました。その後も何度かの増築、補修され、現在の規模にいたりました。

 円通寺の山門をくぐると「円通勝境」の牌坊が見えてきます。これは1668年に平西王?呉三桂により建てられたもので、上部の龍の木彫りと下部の獅子とトラの石彫りが混然一体となっています。円通寺は天王殿、八角亭、大雄寶殿などが左右対称に配置され、青く澄んだ池に囲まれた八角亭を中心に、さらにその周りを回廊に取り囲まれています。円通寺が他の寺院と異なる点は庭園造園の構造と山門から進むことで坂を下っていくことです。つまり、主殿にあたる円通宝殿は最も低い場所に位置します。

 牌坊の先は天王殿で、正面には弥勒菩薩像が座り、背後に韋駄天像、左右に四大天王が安置されています。

八角亭
 天王殿を出て石橋を渡ると八角亭が見えてきます。八角亭は「円通勝境」の牌坊と同じく呉三桂によって建てられたもので、八は仏教における苦しみの原因を滅すための八正道を意味しています。正面に千手観音、その背後には陶器の観音菩薩像が祭られています。八角亭は放生池の中心にあり、石橋でつながっています。また、放生池を囲んで大理石の欄干が作られ、その上に獅子の子像が置かれ、それぞれが違う方向に向き、表情もそれぞれ違います。

円通宝殿
 八角亭から奥へ進むと円通宝殿に出ます。円通宝殿は円通寺の中心にあり、もとは観音を本尊として祭っていましたが、清の同治十年(1871年)に起きた洪水で観音像が破壊され、寺を再建するときは釈迦如来を本尊とされ、殿内祭っている釈迦三尊像はその時に造られたものです。円通宝殿の中央には釈迦如来像、両脇に文殊、普賢の両菩薩像が配置されている釈迦三尊像があり、その前には明の時代の龍の塑像が立っています。そこには高さ10mの二本の柱にそれぞれ黄と青の龍が巻き付き、今にも柱から飛び出してきそうな姿をしており、四面の壁にはそれぞれ生き生きとした表情の十八羅漢像が立っています。ここにある塑像は中国仏教寺院の中でも傑作といわれています。

銅仏殿
 銅仏殿は円通宝殿の奥にあり、1985年に建てられた中国唯一の小乗仏教の仏殿で、タイ国仏教教会から寄贈された銅像が祭られています。この釈迦銅像の高さは3.13m、重量は4.7tに達し、その形態は円通宝殿の釈迦如来像と異なり、大乗仏教と小乗仏教の違いを表現しています。

密教殿
 円通宝殿の東側には密教殿があり、チベット仏教の供奉殿となっています。中心には釈迦如来像が祭られていて、釈迦如来に向かって左側には黄教と呼ばれるチベット仏教ゲル派のツォンカバ開祖の像、右側には紅教のニンマ派のパドマサンババ始祖の像が安置されています。このような一つの寺院に大乗仏教、小乗仏教、チベット仏教の仏殿が集まっている寺院は中国国内で唯一とされています。

昆明動物園

 円通寺の裏には円通山が聳え、その周りは総面積26ヘクタールの公園となっており、古刹区、花卉区、動物園区に分かれています。この山頂からは緑溢れる昆明市街が一望でき、昆明動物園は1953年に開園して以来、市民からは昆明の憩い場所として親しまれています。現在、園内にはパンダ、ベンガルトラ、アジアゾウ、金糸猴などの稀少動物をはじめ、140種、1,000頭以上の動物が飼育されています。