麗江の民族風情

麗江は少数民族ナシ族の主要な居住地で、中国唯一のナシ族自治県でもあります。麗江は風景が美しいだけでなく、独特な民族文化東巴文化を持っています。東巴文化は世界の他の民族の古文化と同じく、一種の宗教文化で、代々受け継いできたナシ族の古文化です。東巴教はナシ族の原始宗教で、その祭司は「東巴」と呼ばれ、東巴文化の伝承者です。

ナシ族は長い歴史をもつ民族の一つで、南へ移動した古代羌族の一部です。農業を主とし、水稲、トウモロコシ、ジャガイモ、小麦、豆、綿、麻を栽培しています。独自の言語文字を持っています。方言は金沙江を境に東西に分かれながら、交流できません。ナシ族にはもともと2種類の文字があり、ひとつは表意の象形文字で、東巴文と称され、もうひとつは表音の音節文字で、哥巴文と呼ばれています。1957年に、ローマ字を基礎とするナシ表音文字が作り出されました。 ナシ族は芸術面で独特で、その詩文、絵画、彫刻、楽舞芸術は国内外に名を馳せます。千年以上前、ナシ族は自民族の文化遺産である東巴象形文字で『東巴経』を書きました。約1500冊、1000万字まであり、現存する『東巴経』は約4万冊あります。内容が豊富で、哲学、歴史、宗教、医学、天文、民俗、文学、芸術などを網羅しており、ナシ族の百科事典として知られています。奴隷制度から封建制度に移るまで長い歴史の中で社会生活の諸側面が記述されています。万物に霊がある思想を用いて天地、日月、風雲、雨晴、動物、植物、戦争、愛情など事物の出所を図解しました。ナシ族麗江壁画は全国的に有名で、文化史の上で重要な地位を占めています。麗江壁画は主に白砂、束河一帯に分布し、明代に制作され、55点が現存し、明清時代の麗江寺院に収められています。内容は「孔雀明王法会図」、「観音普門品図」など宗教的な題材、内容と芸術様式が、表現形式には現実主義的な手法が取り入れられ、従来の宗教的な素材の限界を突破しました。東巴文学は素材によって創世神話、戦争神話、ラブストーリー、生産労働歌謡などに分類され、『創世記』、『白黒の戦争』、『魯般魯饒』は東巴文学の「三つの明珠」と呼ばれています。